【瞑想効果編】ヴィパッサナー瞑想センター(京都)10日間コース参加レポート
ヴィパッサナー瞑想センター(京都、千葉)で行われる10日間の瞑想合宿に行ってきました。シリーズでお届けする参加レポート第8弾は、【瞑想効果編】。100時間に及ぶ瞑想の後に感じたメンタル効果をまとめました。
はじめに
京都センター敷地内の様子(筆者撮影、以下同じ)
昨今、メンタルに良い効果があると話題の、マインドフルネス瞑想。
これ、もともとは、仏教徒たちが伝統的に行ってきた「ヴィパッサナー瞑想」に由来しています。
今、日本で本格的な「ヴィパッサナー瞑想」を泊まり込みで体験できる場所があります。
その名も「ヴィパッサナー瞑想センター」。
施設は、京都と千葉の2か所。どちらも、人里離れた山奥の静かな場所にあります。
1日の瞑想時間はなんと10時間。そしてこれを10日間。合計100時間行います。
瞑想実践者にとっては言わずと知れた存在で、人生で一度は行ってみたいところです。
そしてかくいう私も、先日ついに、参加がかないました!
2019年5月8日から19日まで、10日間コースを終え、無事帰ってきました。
とても濃密な体験でした。
一つのエントリではとても語りつくせないので、参加レポートをシリーズでお届けしたいと思います。
今回は、【瞑想効果編】です。
実際に100時間の瞑想修行を体験した私が、心身にどのような効果を感じたのか、まとめてみました。
効果は科学的にも実証
瞑想合宿(リトリート)のメンタル効果は、科学的にも実証されています。
こちらの記事に、カリフォルニア大学で行われた実験が紹介されています。
6日間、リゾート地でバケーションを満喫したグループと、瞑想合宿をしたグループを比較しています。
結果、どちらもストレス低減効果が認められたそうですが、瞑想合宿の方が、その効果がはるかに長続きしたそうです。
これ、10日間コースを実際に経験した身からしても、感覚としてよくわかります。
この記事を書いている時点で、コース終了からすでに1か月以上経過しているのですが、いまだに「やっぱりストレスは減ったなあ」という感じがします。
科学的な実証は研究者の方にお任せするとして、どんな風にストレスが減ったのか、主観的なところをもう少し掘り下げてみたいと思います。
とにかく心が軽くなる
コース終了直後は、とにかく心が軽くなり、頭の中にずっと爽やかな風が吹いている感じがしました。
心に汚れ(不安、怒り、恐怖など)が生じる頻度は、そこまで減らないのですが、その後のリカバリーが素晴らしく早くなりました。
心の汚れを知覚するスピード・精度が大きく上がったと感じます。
コース中、講話の中で、「感情は、自分のものではなく、"お客さん"にすぎない」という話がありました。
心は、ただの入れ物、「宿」のようなものです。
そこに、不安、怒り、恐怖など、いろいろなお客さんが訪ねて来ます。
彼らは宿にしばらく居座りますが、やがて去っていきます。
彼らはお客さんですから、無理に追い出したりする必要はありません。
そうやって、自分自身と感情を切り離す術が身についてしまえば、心はずっと軽くなるのです。
過去からの解放
コースが終わってから、私は、自分の過去の出来事から少し自由になれた気がしました。
コース中は、いやでも自分自身と向き合う時間が多くなります。
1日10時間も目をつぶって座り続けなければいけません。
瞑想以外の自由時間も、お庭を散歩することくらいしかできません。
コースのルールで、人とコミュニケーションを取ることは一切禁止、ネットも読書も禁止、運動することも禁止ですから、気を紛らわすことができません。
外から刺激がないので、どうしても心は内側に向かい、考え事ばかりをしてしまいます。
私の場合、自分自身の過去に関するネガティブな思考に悩まされました。
たとえば、こんな感じです。
自分は去年の6月まで国家公務員の仕事をしていた。
でも、心身ともに調子を崩し、続けられなくなってしまった。
公務員の仕事は激務だし、自分に向いてないことは初めからわかっていた。
なのに、なぜ公務員になってしまったのか。
そのために一生懸命がんばった大学受験や就職試験はなんだったのか。
やはり自分は選択を誤ったのか。自分はダメ人間なのか。
誰のせいでこうなったのか。。
このように、グルグルと非生産的な思考にとらわれます。
過去はもう変えることはできないのに、いつまでもとらわれ、出口も見えず、消耗するばかりです。
このような心の反応の連鎖を「サンカーラ」と呼びます。
サンカーラを止める方法はただ一つ、「今、ここ」に意識を集中することです。
瞑想中であれば、足のしびれ、手先のかゆみ、背中の張りなど、カラダの感覚を、ただありのままに観察します。
散歩中であれば「歩いていること」にただ集中し、食事中であれば「食べていること」にただ集中します。
これができている間は、サンカーラは止まり、心は休まります。
それでも、次から次へと過去のイヤな記憶が出てきて、ネガティブな思考は続くのですが、だんだん、その思考になんの実体もないことがわかってきます。
これをくり返すことで、少しずつですが、過去から自由になることができました。
思考パターンの修正
自分の思考パターンが修正されたと感じます。
どういうことか、説明します。
コースが終わって、スマホの電源を10日ぶりに入れました。
SNSにたくさんの通知が来ていましたが、その中に、なかなかショッキングな知らせが。。
父が大ケガを負い、救急車で運ばれて全身麻酔の手術を受けたんだとか。。
幸い命に別状はなかったのですが、しばしの間、動揺しました。
でも、気を取り直して考えました。
起きてしまったことは仕方がない。これから、自分にできることは何か?
近いうちに見舞いに行くこと、そばにいる母を支えることなど、できることのリストを作りました。
自分にできるベストを尽くすだけ。父のケガについて、これ以上あれこれ考えても仕方ないです。
以前の自分だったら、こうは考えられませんでした。
「自分がもっとよく注意していれば、今回の事故は防げたんじゃないか。。」
「自分が10日間も不在にしたのが影響したのかな。。」
こんな風に、反すう思考をしたり、自分を責めたりしていたと思います。
思考パターンが、良い方向に、そしてより現実的な方向に修正されたと感じました。
アルコールやポルノからの脱却
あと、副産物的な効果がもう一つありました。
アルコールやポルノからの脱却です。
瞑想の直接の効果というよりは、10日間特殊な生活環境に身を置くことがきっかけになってできたことかもしれません。
アルコール、甘いもの、タバコ、ギャンブル、ポルノ、浪費ぐせなど、やめたいと思っているけどなかなかやめられない習慣ってありますよね。
もちろんこれらの習慣を全否定するつもりはありませんが、やめたいと思っているのにやめられないのは辛いです。
コース中はもちろん、これらは全て禁止。また講話では、日常生活に戻ってからも極力控えるようにとの話がありました。
私はこれを聞いたとき、そんな味気ない人生イヤだな、とどこかで思っていました。
特にアルコールや甘いものは、人生をより豊かにするものだという思いが強かったです。
でもコースが終わってみると、不思議とカラダが欲しないんですね。
ポルノにしてもそうです。私は以前から、ストレス解消にネットポルノを見てしまう習慣があり、これもやめたいとずっと思っていましたが、なかなかやめられなかったのです。
でも今は、ポルノを見ようという気が全くおきません。
外から感覚の刺激を入れるより、瞑想していた方が心地よく感じるようになりました。
これは、明らかに良い変化でした。
おわりに
こうやって書き出してみると、良いことばかりです。
コース中は苦しい時間が長かったですが、日常生活に戻ってからは本当に心に余裕をもてる時間が増えました。
この経験と成果は、私にとって宝物になりました。
でも、油断は禁物。そして、慢心は禁物です。
日常に戻ってから、瞑想中もそうでないときも、とにかく「今、ここ」に意識をとどめること。心が過去や未来にさまよいだしたら、できるだけ早く気づき、「今、ここ」に意識を戻すことです。
そして、いかなるときも、平静さを保つ。これに尽きます。
瞑想の効果は科学的にも証明されているものですが、自分が感じたその効果をことばにしようとすると、どうしてもパーソナルな問題に触れざるを得ません。
ですから、このエントリの内容もかなりパーソナルなものになりました。
瞑想の効果の感じ方は人それぞれ、抱えている問題も人それぞれですので、あくまで参考程度に読んでいただければと思います。
パオ