瞑想Hack

瞑想を始めたい・続けたい人のための瞑想ライフハック・ブログです。瞑想に取り組む上で知っておきたいことを、脳科学や仏教の視点も交え、わかりやすく解説しています。

「食べる瞑想」実際にやってみて気づいたこととは?

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「食べる瞑想」とは?食べる瞑想のやり方を紹介するとともに、実際に私がやってみた感想や、新たに気づいたことをシェアします。

 

 

 

 

 

はじめに

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今日は、「食べる瞑想」のご紹介です。

 

 

食べる瞑想??

 

 

正直、よくわかりませんよね。

 

 

瞑想というと、ふつうは、座って目を閉じて、じっとしてるところをイメージします。

 

 

でも、座って目を閉じるだけが瞑想ではありません

 

 

瞑想には、いろいろな種類があります。

 

 

手を動かす瞑想、歩く瞑想、などなどいろいろありますが、

 

 

食べる瞑想も、立派な瞑想方法のひとつです。

 

 

「食べる瞑想」が重視される理由

 

マインドフルネス・ストレス低減法

 

 

これは、マサチューセッツ大学のジョン・カバットジン博士が開発した8週間のプログラムです。

 

 

カバットジン博士は、仏教の伝統的な瞑想法から「マインドフルネス」という概念を抽出し、世に広めることに大きく貢献した人物ですね。

 

 

(マサチューセッツ大学メディカルセンターの)ストレス・ クリニックで行っているプログラムを開始すると、まず患者たちは驚きます。

 

なぜなら、 瞑想とは何か普通ではない、神秘的なことをすることに違いないと思っているからです。中には、リラックスすることだと思っている人もいます。

 

こうした思い込みを直ちに取り除いてもらうために、私たちは全員に3粒のレーズンを配り、自分が実際にしていることに注意を集中し、瞬間瞬間を体験しながら、一粒ずつ食べてもらうということを行います。私たちは、これを”食べる瞑想”と呼んでいます。

引用元:「マインドフルネスストレス低減法」J・カバットジン著、北大路書房、2007年。以下、同じ。

 

 

マインドフルネスストレス低減法

マインドフルネスストレス低減法

  • 作者: ジョン・カバットジン,Jon Kabat‐Zinn,春木豊
  • 出版社/メーカー: 北大路書房
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瞑想というと、何か神秘的なイメージを持つ方がいるかもしれません。

 

 

あるいは、風光明媚な場所、森林や海辺などの非日常空間に行って、忙しい日常生活を忘れるために、リフレッシュする手段だと思っている方も、いるかもしれません。

 

 

ただ、ここでのポイントは、瞑想は決して非日常の行為ではないということ。

 

 

瞑想は、非日常空間でリフレッシュすることではなく、毎日の生活の中で習慣化してこそ、意味のあるものです。

 

 

日常の行為の中に、瞑想の要素を取り入れます。

 

 

「食べる」という行為は、私たちがみな、日常的に行っているものですね。

 

 

あまりにも日常的すぎて、ほとんど無意識のうちに食べていることもあります。

 

 

毎日あたりまえの行為や体験に、あえて意識的になってみる

 

 

「マインドフルネス・ストレス低減法」の中で、「食べる瞑想」が重視されている理由は、ここにあります。

 

 

食べる瞑想のやり方

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「マインドフルネス・ストレス低減法」では、「食べる瞑想」のやり方がていねいに紹介されています。

 

 

写真にあるように、使う食材は、3粒のレーズンです。

 

 

①〜③の手順で行います。

 

 

①レーズンを観察してみる

まず最初に、 レーズンを観察することに注意を集中します。初めて見るようなつもりで観察します。

 

指でつまんだ感触を確かめ、色や表面の状態に注意をはらいます。

 

こうしていると、レーズンやほかの食べ物についてのいろいろな思いがわきあがってくるのに気がつきます。観察しているうちに、好きとか嫌いといった思いや感じも生まれてきます。

 

 

②レーズンを口に持っていく

次に、しばらくレーズンの匂いをかぎ、最後に、うまく口に持っていくために腕が手を持ちあげ、心と体が食べ物を予期して唾液を出すのを意識しながら、唇にレーズンをのせます。

 

 

③レーズンをかみしめ、飲み込む

そのまま口に入れ、一粒のレーズンの本当の味を確かめながら、ゆっくりと噛み締めます。


十分に噛んだら、飲み下す時の感触を確かめながら飲み込みます。飲み込むという行為でさえ、意識的に体験することができるのです。

 

飲み込んでしまうと、自分の体が、レーズン一粒分だけ重くなったような気がします。実際にそう”感じる”ことができるかもしれません。

 

 

 

実際にやってみた感想

 

①〜③の手順、実際にやってみました!

 

 

以下、「食べる瞑想」を実況中継してみます。

 

①レーズンを観察してみる

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レーズンを3粒、用意しましたw

 

 

初めて見るようなつもりで、レーズンをまじまじと見てみます。

 

 

こう見ると、レーズンって、なかなかいびつな形をしていますね。

 

 

シワだらけ。色もくすんでいます。あまり美しいとは言えませんね。

 

 

表面をよく見ると、少し光沢があります。脂質が含まれているせいでしょう。

 

 

そして、少しだけ透明感があります。でも、向こうが透けて見えるというほどではありません。

 

 

レーズンを眺めているうちに、いろいろな思いがわいてきます。

 

 

なんかレーズンって、好きになれないよな。

 

まだブドウとか、リンゴとかバナナとかを眺めていた方がいいよな。

 

フレッシュなフルーツの方が、色もカラフルで、かわいらしいけど。。

 

 

指でつまんでみます。

 

 

やわらかいような、かたいような、グニャっとした感覚。

 

 

表面の脂質が指につき、かすかにベタつく。

 

 

なんとも言えない異物感。。

 

 

レーズンを観察してみて、正直こんな思いや感情がわいてきました。

 

 

②レーズンを口に持っていく

レーズンの香りをかいでみます。

 

 

それほどいい香りという感じではありません。

 

 

なんというか、甘ったるく、鈍く、古臭い感じ。

 

 

その奥に、酸っぱい香りも感じます。

 

 

レーズンを口に持っていくため、腕を持ち上げ、唇にのせます。

 

 

その動作の過程で、心がわずかにざわつくのを感じます。

 

 

こんな異物を、口に入れるのか。

 

こんな異物と、自分が、1分後には一体になっているのか。

 

 

レーズンを食べることへの抵抗が何度か頭をよぎります。

 

 

食べることに、少しだけ勇気が必要だということに気づきます。

 

 

わずか1秒くらいの間に、さまざまな思いや感情が、わいては消えていきます

 

 

③レーズンをかみしめ、飲み込む

レーズンを、かみます。

 

 

レーズンは、思ったよりもずっと皮が厚く、硬いと感じます。

 

 

そして、噛み砕くのに、予想以上に力を必要とします。

 

 

不思議なことに、唾液はあまりでてきません。

 

 

おそらくは、レーズンを食べたときはちょうど昼食のあとで、食欲はすでに満たされた状態だったからだと思います。

 

 

少し時間をおいて、味が出てきます。

 

 

甘く、かすかに酸っぱい味。そしてワインのような香りが、口全体に広がります。

 

 

噛むたびに、レーズンが歯にまとわりつきます。

 

 

そして、だんだん皮だけになっていきます。

 

 

咀嚼されたレーズンに、少し同情したような気持ちになります。

 

 

そして、ごっくんと、飲み込みます。

 

 

飲み込むときは、少し抵抗感がありますが、飲み込んでしまえば、不思議な達成感や満足感があります。

 

 

そして、口の中に、甘ったるい香りが残っています。

 

 

 

食べる瞑想をして、気づいたこと

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レーズンを食べるという、ただそれだけの行為。

 

 

実況中継におつきあいいただき、ありがとうございますw

 

 

私の場合は、レーズンに対してなぜがネガティブな感じになってしまいましたが、人によって、また実況中継の内容は全く違ってくると思います。

 

 

これ、はたから見たら、ただの変人ですねww

 

 

しかし、だまされたと思ってやってみると、いろいろ新たな気づきがあるものです。

 

 

この練習に対する人々の印象は、大変良いようです。レーズンが嫌いな人でさえ、好意的に受け止めています。

 

彼らは、普段とは違うこの食べ方には満足感があるとか、今までこんなふうにレーズンを味わったことはなかったとか、たった一粒のレーズンでも満腹感がある、と話してくれます。

 

いつもこんなふうにものを食べれば、もっと少ない量でより多くの楽しみと充足感を味わえる、と思う人もたくさんいます。

 

また、一つも食べ終わらないうちに、いつのまにかもう一粒に手を伸ばしている自分に気がついて、普段はこんな風にしてひっきりなしでお菓子を食べているのだと、認識を新たにする人もいます。

 

 

私たちは、特に心配事があったり、落ち込んだりした時には、気持ちを落ち着かせるために、つい食べ物に手を出してしまいがちになります。

 

ゆっくりゆっくり食べて、自分のしていることに注意を集中させるこの練習は、”食べ物に対する衝動というのは、非常に強くてコントロールしにくい”ということ、

 

しかし、”それを簡単に満足させる方法がある”、そして、”実際に自分がしていることに意識的になれれば、自分の感情をコントロールすることができる”ということを教えてくれます。

 

 

カバットジン博士も指摘しているように、これ、やってみると、本当に「食べる」という行為の認識が変わります

 

 

「食べる」という行為の背景に、繊細で複雑な感情の動きがあることがわかりました。

 

 

そしてこれらの感情は、自分の今の体調やコンディションと密接に連動していることもわかりました。

 

 

普段、食事中に、自分がいかに無意識でいるか。

 

 

カラダの状態や心の動きに無自覚のまま、「食べる」という行為を衝動的に行なっているのかということがよくわかりました。

 

 

そして、食後の満足感は、食べものの量だけではなく、食べる行為にひとつひとつ連なる心のプロセスと密接に関係していることにも気がつきました。

 

 

レーズン1粒で、満足感が得られるというのは、あながちウソではないという気がします。

 

 

おわりに

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レーズンが嫌いな方は、別にレーズンでなくても構いません。

 

 

お茶碗一杯のご飯でも、梅干しでもたくあんでも、なんでも大丈夫なはずです。

 

 

日本人であれば、こちらの方がなじみやすいかもしれませんね。

 

 

食材はなんであれ、同じ要領で、一連の動作をしてみる。

 

 

「食べる瞑想」

 

 

マインドフルネスを日常でトレーニングする上では、素晴らしい方法だと思います。

 

 

はたから見たら変人だという感じは否めませんがw

 

 

興味がある方は、ぜひ一度試してみてください。

 

 

パオ