下痢・便秘を食事で治す!?医師が提唱する「低FODMAP食事法」とは?
下痢・便秘でお悩みの方に朗報です!3週間で8割の人の胃腸の悩みが改善したといわれる「低FODMAP食事法」。実際に3週間、試してみました!
下痢や便秘の悩み
ご飯を食べた後、お腹がゴロゴロする。。
通勤電車の中、大切な会議や試験の前に、お腹が痛くなり、トイレにかけこむ。。
いつも下痢や便秘をくりかえす。。
そんなお腹の不調でお悩みの方。
もしかしたら、過敏性腸症候群(IBS)かもしれません。
IBSとは、
お腹の痛みや調子がわるく、それと関連して便秘や下痢などのお通じの異常(排便回数や便の形の異常)が数ヵ月以上続く状態のときに最も考えられる病気
引用元:
過敏性腸症候群(IBS)ガイド|患者さんとご家族のためのガイド|日本消化器病学会ガイドライン
です。
☑️お腹の痛みや不快感に、ひんぱんにおそわれる
☑️食べものやストレスに反応して症状が出る
☑️病院で腸の検査をしても、異常ないと言われる
などが特徴です。
日本人の10人に1人が当てはまるといわれる、非常によくある病気だそうです。
下痢や便秘がひんぱんに起こると、日常生活にも支障をきたすことがあり、つらいですね。
かくいう私も、ここ10年くらい、腹痛・下痢に悩まされてきました。
あまりにも症状がひどいので、一度消化器内科で、腸の検査をしてみました。
結果、腸に異常なし。
診断は、過敏性腸症候群(IBS)でした。
大腸ガンやクローン病などといった大きな病気ではなくてホッとはしましたが、IBSをなんとかしなければいけません。
FODMAPとは?
過敏性腸症候群(IBS)
この病気、薬で対処する方法もありますが、食事を変えることで、症状を改善する方法もあります。
「低FODMAP食事法」と呼ばれるものです。
オーストラリアのモナッシュ大学発の食事法で、最近は日本でも紹介されるようになってきました。
そもそも、FODMAP(フォドマップ)とは何か?
日本消化器学会専門医である江田証先生の著書を参考に、以下、解説します。
FODMAPとは、炭水化物に含まれる、IBSなどおなかの不調を引き起こすと考えられている特定の糖質の総称です。
Fermentable(発酵性の)
Oligosaccharides(オリゴ糖)
Disaccharides(二糖類)
Monosaccharides(単糖類)
and
Polyols(ポリオール)
頭文字をとって、FODMAPです。
オリゴ糖、二糖類、単糖類、ポリオール。
IBSの人は、この4種類の糖質をうまく腸内で吸収できないのだそうです。
これらの糖質を多く含む食品を食べると、下痢、便秘などを引き起します。
したがって、FODMAPをあまり多く含まない食品をとるように心がければ、下痢や便秘などの症状を改善できるかも!というわけです。
これが、「低FODMAP食事法」の考え方です。
「低FODMAP」食材とは?
以下に、FODMAPを多く含む食材(高FODMAP)と、FODMAPの少ない食材(低FODMAP)の代表例をあげました。
NG! |
OK! |
|
高FODMAP |
低FODMAP |
|
炭水化物 |
小麦 |
米 |
とうもろこし |
そば粉 |
|
野菜、豆など |
たまねぎ |
にんじん |
にんにく |
キャベツ |
|
ごぼう |
トマト |
|
きのこ類 |
なす |
|
納豆 |
きゅうり |
|
フルーツ |
りんご |
バナナ |
なし |
いちご |
|
もも |
ぶどう |
|
乳製品 |
牛乳 |
バター |
ヨーグルト |
チェダーチーズなど |
|
生クリーム |
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プロセスチーズ |
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肉・魚など |
ソーセージ |
牛肉 |
豚肉 |
||
鶏肉 |
||
ベーコン、ハム |
||
魚介類 |
||
卵 |
参考:「自分で治す過敏性腸症候群の本」江田証著、宝島社、2017年
まず、小麦がNGです。
たまねぎやにんにくもNG。
ヨーグルト、納豆など、一般にお腹に良いとされている発酵食品もNGというのは、意外です。
一見お腹に良さそうなものも、人によっては、腸に悪い影響を及ぼしている。FODMAPではこう考えます。
NG食材はかなり多いので、本当に「低FODMAP食事法を実践」しようと思ったら、料理を工夫して、食生活を大きく変える必要があります。
低FODMAP食、どうやって試したの?
江田先生は、IBSを食事で治療する場合は、まずは3週間、徹底して高FODMAP食品を避けることをすすめています。
私は長年、IBSに悩んでいたので、とりあえず3週間、低FODMAP食を徹底してみました。
幸い、私は主夫なので、1日3食、家で作って食べます。
料理に使う食材は、ほぼ自由にコントロールできました。
家族の協力に感謝です。
以下、どんなメニューにしたのか、見ていきます。
主食(炭水化物)
小麦がダメなので、パン、パスタ、うどん、ラーメンなど小麦製品は全てNGです。
炭水化物は、ほとんど米に頼ります。ほぼ3食、米です。
たまに、お昼にそばを食べました。
小麦の入っていない10割そばです。
あと重宝したのは、ビーフンです。
炒め物にしたり、フォーのようにスープに入れて食べました。
メインディッシュ
肉、魚介類、卵はほとんどOKです。
ですので、焼肉、ステーキ、しゃぶしゃぶ、焼き鳥、刺身、焼き魚、卵料理などは大丈夫でした。
フライ、天ぷらなどの揚げ物は、衣に小麦粉を使っているのでNGです。代わりに、片栗粉や米粉を使いました。
炒め物をするときは、にんにく、たまねぎが使えません。
しょうがを使いました。
調味料は、しょうゆ、ウスターソース、マヨネーズはOK。
ただ、しょうゆには、成分に小麦が入っていないものを選びました。
ケチャップはダメです。
汁もの、スープ
きのこ類がNGなので、みそ汁は、だしにシイタケを使っていないものを選びました。
具に、ねぎ、たまねぎ、きのこ類は使えません。
大根、白菜、にんじん、なす、もやしなどを使います。
豆腐は、絹ごしはダメなので、木綿ごしを使います。
洋風のスープは、たまねぎ、コンソメが使えないので、難しいです。
アジ、イワシ、貝類、イカなどを入れて、トマト煮込みにしたら、ペスカトーレ風になって美味しかったです。
お菓子
小麦がNGなので、クッキー、菓子パン、ケーキなどは全てNG。
ミルクチョコレートはNGですが、ダークチョコレートはOKです。
ナッツ類は、カシューナッツはダメですが、くるみ、アーモンド、ピーナッツはOKです。
結果、効果はあったの?
「低FODMAP食事法」は、使える食材がそうとう制限されるので、続けるにはけっこう根気が必要です。
「ごはん+肉+みそ汁」とか、「ごはん+魚+みそ汁」みたいに、毎日似たようなメニューになってきます。
そして、3週間が経過しました。
結果、下痢や便秘の症状は改善したのか?
答えは、
「ある程度は効果があった」という感じです。
「低FODMAP食事法」で、劇的に症状改善!!という人もいるみたいです。
私は、「もう胃腸の悩みとはおさらば!!」というわけにはいきませんでした。
私の場合、お腹の不調は、FODMAPだけが原因ではないということですね。
ただ、「低FODMAP食事法」を実践する中で、とりわけ自分と相性の悪い食材というのがわかってきました。
私の場合、小麦とたまねぎです。
「低FODMAP食事法」を3週間実践したあと、高FODMAP食材に少しずつ戻していきます。
小麦とたまねぎのときだけ、明らかに、低FODMAP実践中とは異なる反応が出ていました。
このように、「低FODMAP食事法」を実践することで、お腹の症状を改善するだけでなく、自分と相性の悪い食材を発見できるのです。
同じIBSで悩んでいても、人によって、問題ない食材と、NG食材があるはずなので、一度試してみる価値はあるかもしれません。
自分にとってのNG食材がわかるだけでも、ずいぶん楽になります。
「低FODMAP食事法」おすすめ本
さて、「低FODMAP食事法」に興味を持った方がいましたら、まずは関連本を読むことをオススメします。
上記に掲載した食材表も、全体のほんの一部ですし、このエントリだけでは、情報が限られています。
日本消化器学会専門医である江田証先生の本はオススメです。
まずはこちら。
IBSの人が、高FODMAP食品を食べると、なぜ便秘や下痢をしてしまうのか。小腸と大腸で起こるメカニズムが、図でわかりやすく解説されています。
また、どの食品がNGで、どの食品がOKなのか。
日本人が日常的に摂取する食品・食材については、ほぼ網羅されています。
写真の一覧表になっており、とても見やすいです。
「低FODMAP食事法」を実践するなら、手元に持っておき、いつでも参照できるようにすると良いと思います。
また、こちらは、FODMAPについて、より踏みこんだ理解ができます。
著者は、自分のおなかに耳を傾ける「傾聴」ならぬ「傾腸」を提唱しています。
「低FODMAP食事法」で、おなかの調子がどれくらい良くなるのか、自分で観察するのです。
高FODMAP食品の中にも、人によって、食べられるものもあるそうです。食材は一つ一つ試して、自分の身体で実験していくのです。
自分の身体に合ったメニューが、明らかになっていきます。
「低FODMAP食事法」は、長期的に生活習慣病の予防に役立ったり、アンチエイジングにも効果があるそうです。
この本には、そのへんの話が、詳しく書かれています。
下痢・便秘に悩む方は、一度読んでおいて、損はないと思います。
おわりに
「低FODMAP食事法」を実践したからといって、下痢や便秘で悩む全ての人に効果があるわけではありません。
効果てきめん!という人もいれば、私のようにそこそこという場合、また、全く効果なしということもあり得ます。
また、あまりストイックにやる必要もないかもしれません。
しょうゆに含まれている小麦とか、だしパックに含まれているシイタケまで気にしていたら、何も作れませんからね。
小麦やたまねぎの大量摂取をさけるだけでも、FODMAP的には大きな意味があります。
また、外食がさけられない方。
これも完璧主義でやると、外食できなくなってしまいますので、できる範囲で大丈夫だと思います。
例えば、コンビニでパンを買う代わりにおにぎりを買うとか、
吉野家で牛丼を頼むとき、たまねぎを抜いてもらうとか。
それだけで、FODMAP的には意味があります。
小さな心がけで、 長年の下痢・便秘が改善できるかもしれませんね。
参考になれば嬉しいです。
※この記事は、2018年11月23日のエントリをリライトしたものです。
パオ