瞑想Hack

瞑想を始めたい・続けたい人のための瞑想ライフハック・ブログです。瞑想に取り組む上で知っておきたいことを、脳科学や仏教の視点も交え、わかりやすく解説しています。

神学者の名言「ニーバーの祈り」から強いメンタルの作り方を学ぶ!

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ストレスに押し潰されそうになったときに読みたい神学者の名言!20世紀最高の詩とも言われ、心理療法の現場でも活用される「ニーバーの祈り」について解説!

 

 

 

 

はじめに

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仕事で大きなミスをした...

パートナーに裏切られた...

大きな借金を作ってしまった...

 

 

このように、何かショッキングな出来事があったとき、普通は大きなストレスを抱え、なかなか立ち直れないものです。

 

 

本エントリでは、そんなときに読みたい、ある詩の一節をご紹介します。

 

 

アメリカの神学者の作とされる「ニーバーの祈り」と呼ばれるものです。

 

 

辛いときに、詩なんか読んでも何も解決しない。

単なる気休めじゃないか。

 

 

そう思われるかもしれません。

 

 

詩など読んだところで、現実は何も変わらないかもしれません。

 

 

でも、現実を変えるためのヒントが、この詩には隠されています。

 

 

実際に、メンタル疾患の患者の治療にも応用されているこの「ニーバーの祈り」とはどのようなものなのか、その内容について解説していきます。

 

 

 

「ニーバーの祈り」とは?

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「ニーバーの祈り」とは、アメリカの神学者ラインホルド・ニーバー(Reinhold Niebuhr, 1892–1971)作と言われる、祈りのことばです。

 

 

原題では "The Serenity Prayer" と呼ばれ、「平静の祈り」などとも訳されています。

 

 

「ニーバーの祈り」にはさまざまなバージョンがあるようですが、よく知られているのは以下のバージョンです。

 

 

God, give us grace to accept with serenity the things that cannot be changed,

 

courage to change the things that should be changed,

 

and the wisdom to distinguish the one from the other.


—Reinhold Niebuhr, The Serenity Prayer (1943)

引用元:https://yalealumnimagazine.com/articles/2143

 

 

【日本語訳】

神よ、変えることのできないものについて、それを平静に受け入れるだけの力をわれらに与えたまえ。

 

変えることのできるものについては、それを変えるだけの勇気をわれらに与えたまえ。

 

そして、変えることのできないものと、変えることのできるものを見分ける知恵をわれらに与えたまえ。

 

ラインホールド・ニーバー「平静の祈り」(1943)

 

 

あくまで一節ですが、1943年にニーバーが教会で説教をしたときのことばがもとになっているそうです。

 

 

神学者が神に語りかけるかたちで書かれていますが、キリスト教徒でなくても、大いに学ぶところがあります。

 

 

 

受容(アクセプタンス)の精神

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「ニーバーの祈り」のキーコンセプトに、受容(アクセプタンス)があります。

 

 

「変えることのできないものについて、それを平静に受け入れるだけの力をわれらに与えたまえ」

 

 

ここです。

 

 

たとえば、仕事で大きなミスをしたとします。

 

 

そのとき、よく、

 

 

「あのときもっと早く対処していれば、こんなことにはならなかったのに...」

 

 

と考え、くよくよと悩んでしまう人は、少なくないですよね。

 

 

でも、起きてしまったミスは事実であり、もう変えることはできません。

 

 

事実は、受け入れるしかないのです。

 

 

「ミスをしてしまったのは事実だから、同じミスをしないように、今度から気をつけよう!」

 

 

このように、気持ちを切り替えることができれば、ストレスは大きく減ります。

 

 

心理学の用語に、「受容のアンバランス」というものがあります。

 

 

これは、変えることのできないものを、受け入れられない状態のこと。

 

 

「あのときもっと早く対処していれば...」

 

 

いくら悩んでも過去は変えられないので、悩めば悩むほど、メンタルは悪化していきます。

 

 

変えられないものを受け入れること。これがスタートとなります。

 

 

 

変えられるものを変える勇気

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「受け入れること」

 

 

何よりこれがまずは大切だと言いましたが、受け入れるだけでは、じゅうぶんではありません。

 

 

「ニーバーの祈り」は、受け入れることばかりを奨励しているわけではありません。

 

 

たとえば、ドメスティック・バイオレンス(DV)を例にとって考えてみましょう。

 

 

あなたのパートナーがあなたに対して暴力をふるっていたとして、話し合いでは解決が望めない場合、状況を受け入れるだけではいけませんよね。

 

 

当然ですが、自分は今危険にさらされていることを自覚し、自分を守るために行動を起こす必要があります。

 

 

具体的には、パートナーとの関係を切る、専門家の助けを借りて法的な行動を起こすといったことです。

 

 

パートナーと出会った過去、パートナーから暴力をふるわれたという過去は変えることができませんが、これからのパートナーとの関係は自身の手で変えることができます。

 

 

自分にも悪いところがあるから...

こんなこと、人には知られたくないから...

自分さえ我慢すれば...

 

 

そんな風に自分で言い訳して、辛い状況に置かれていても、その状況に甘んじてしまうというケースもよくあります。

 

 

変えることのできるものについては、それを変えるだけの勇気をわれらに与えたまえ

 

 

「ニーバーの祈り」は、今の自分を変える勇気を与えてくれます。

 

 

 

心理療法への応用

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「ニーバーの祈り」には、単なる気休めではなく、実際に困難な状況にある人のメンタルを変える力があるといえます。

 

 

実際、アメリカでは、アルコール依存症や薬物依存症を克服するための自助グループなどにおいて、「ニーバーの祈り」が活用されているほどだそうです。

 

 

さらに、2010年代から注目を集めている心理療法「アクセプタンス・コミットメント・セラピー(ACT:アクト)」においても、「ニーバーの祈り」の考え方が生かされています。

 

 

医師・心理療法士のラス・ハリス氏は、ACTの考え方の中核にあるのは、受容と行動だとした上で、「ニーバーの祈り」を以下のように現代風にアレンジしています。

 

 

解決可能な問題を解決する勇気を育てなさい


解決不可能な問題を受け入れる平静な心を育てなさい


そして、この二つの違いを理解できる知恵を育てなさい

引用元:p.76『幸福になりたいなら幸福になろうとしてはいけないーマインドフルネスから生まれた心理療法ACT入門』ラス・ハリス著、筑摩書房、2015年

 

 

 

 

 

おわりに

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何かつらいことがあったとき、

 

 

ストレスに押しつぶされそうになったとき、

 

 

「ニーバーの祈り」を読むことをおすすめします。

 

 

そして、自分に問うてみてください。

 

 

今目の前にある問題は、

 

 

自分の手で変えられるものなのか、それとも、変えられないものなのか。

 

 

見極めることができたら、あとは、「変えられるもの」だけに注目し、具体的にどのように行動に起こしていくかを考えれば良いのです。

 

 

参考になれば嬉しいです。

 

 

パオ