【食事編】ヴィパッサナー瞑想センター(京都)10日間コース参加レポート
ヴィパッサナー瞑想センター(京都ダンマバーヌ)で行われる10日間の瞑想合宿に行ってきました。シリーズでお届けする参加レポート第3弾は、【食事編】。合宿中に出された食事もまた、印象的なものでした。
はじめに
ヴィパッサナー瞑想センター(京都)にあるダイニングの外観(筆者撮影、以下同じ)
京都と千葉の山奥にある「ヴィパッサナー瞑想センター」。
ここは、本格的な「ヴィパッサナー瞑想」を体験できる、日本でも数少ない施設です。
瞑想実践者にとってはいわずと知れた存在。人生で一度は行ってみたいところです。
そして、ついに私も、行ってきました!
「10日間コース」に申し込み、2019年5月8日〜19日まで、泊まり込みでがっつり瞑想してきました。
とても濃密な体験でした。
一つのエントリではとても語りつくせないので、参加レポートをシリーズでお届けしたいと思います。
今回は、【食事編】です。
10日間という長い共同生活。どんな食事が出されるのか、気になるところです。
ちなみに、コース中、参加者は敷地の外に出ることはできず、外から食べもの・飲み物を持ち込むことはできません。
食堂で、決められた食事を、決められた時間に食べることになります。
セルフサービス
ダイニングにあるカウンター
食事は1日2回、朝食と昼食のみです。これに加えて、夕方にティータイムがあります。
食事の時間になると、こちらのカウンターに料理が用意されます。
トレイ、食器類
このように、トレイや食器が用意されており、各自が自分で使う分を取っていく、セルフサービスのスタイルです。
コース中は、他の参加者とのコミュニケーションは一切禁止なので、席に座ったら一人でもくもくと食べる感じです。
食器を洗う場所
食べ終わったら、各自が使った食器を自分で洗い、もとの場所にしまいます。
ベジタリアンメニュー
女性用ダイニングの様子
全て、ベジタリアンメニューです。
10日間コース中、参加者が真剣に瞑想修行に取り組んでいる間は、規律を守らなければなりません。
これは伝統的な仏教の戒律と同じものなのですが、この中に、「生き物を殺してはならない」というのがあります。
ですから、肉や魚は食べてはいけません。
コース中に出てきた動物性食品は、牛乳とバターだけだったと思います。
基本、ご飯類と、おかず1〜2品だけで、品数は多くはありません。
朝食(6:30)
男性用ダイニングの様子
メニュー
主食: 玄米、白米、おかゆ、パン
汁物: 味噌汁、野菜スープ、豆のスープなど
おかず:サラダ、海藻など
基本的に、こんな感じのシンプルなメニューのくり返しです。
ご飯は、毎回、玄米か白米を選ぶことができます。
せっかくの機会だからと、玄米を食べている人が多かったです。
加えて、おかゆが用意されているときもありました。
ご飯の付け合わせに、梅干し(非常にしょっぱい)、味噌、ごま、塩なども用意されていました。
パンは、ライ麦パン(?)のような酸味のある良質なものでした。
トーストで焼き、さらにバター、ジャム、ごまペーストなどをつけることができました。
汁物は、薄味でシンプル。ダシもおそらく、カツオなどの動物性食品は使わず、キノコや昆布だったと思います。
おかずは、ある時とない時がありました。
おからとひじきのオーブン焼きなど、ちょっと気の利いた1品があるときもありました。
前の日の残りものが出ているときもありました。
昼食(11:00)
食堂内の様子(窓のある席)
メニュー
主食 :玄米、白米、麺など
おかず:野菜炒め、おでん、八宝菜、ビビンバ、カレーなど
副菜 :サラダ、豆乳スープなど
基本、主食は玄米か白米で、それにおかずが1〜2品の定食といった感じでした。
たまに、麺類のときもありました。けんちんうどんのようなものや、トマトソースのパスタのときもありました。
材料のほとんどは、野菜、芋類、豆類、キノコ類、海藻類です。
八宝菜、ビビンバといっても、お肉は入っていません。ただ、コチュジャンなど調味料に工夫がなされていました。
サラダがあるときもありました。レタスや水菜や春雨を使ったサラダです。
オリーブオイル、ビネガー、塩などが常備されているので、それらをかけます。
この昼食の時間が、1日の中で一番のごちそうでした。
個人的には、うどん、パスタ、カレーなどが出たときは、少しテンションが上がりました。
ティータイム(17:00)
食堂内の掲示物
フルーツ:りんご、オレンジ、バナナ
飲み物 :紅茶、ほうじ茶、コーヒー、牛乳、豆乳
コース中の規律により、午後は食べ物をとってはいけないことになっています。
ただ、初めての参加者(「新しい生徒」と呼ばれます)は、これではさすがにキツイということで、このティータイムのときにフルーツを食べることができます。
フルーツは、りんご、オレンジ、バナナのうち、毎回2種類が出されました。
バナナは多少腹持ちがいいので、空腹をしのぐことができ、助かりました。
飲み物は、ティーバックの紅茶、温かいほうじ茶、粉末コーヒー、牛乳、豆乳などが用意されていました。
砂糖、レモン汁、シロップ、すりおろし生姜などもあり、ドリンクを好きなようにアレンジできます。
これだけでは空腹が満たされず大変かと思うかもしれませんが、だんだん慣れてきます。
ただ、コースの初日(到着日)だけは、夕方、おそばの提供がありました。
至福の時間
キッチン入り口付近の様子
コース中の生活は、なかなか厳しいものです。
朝4時起きで、1日10時間の瞑想。寝室は雑魚寝で、プライベート空間のない集団生活。
しかも、インターネットの使用はもちろん、他の参加者とのコミュニケーション、読書や運動でさえも禁止されています。
瞑想中は、ひたすら自分との戦いです。なかなかうまく瞑想できなくて、苦しいときもあります。
そんな生活の中にあって、食事の時間は、控えめにいっても至福の時間でした。
メニューは全体的に薄味ですし、品数も少なく、普通のレストランで食べたとしたら、特に記憶に残るようなものではなかったはずです(でも良い素材を使ったちゃんとした手作りの自然食です)。
ただ、それでも、この特殊な環境下で食べると、本当に美味しく感じました。常に空腹だったということもあります。
また、食事も含めコースへの参加費が無料(正確には寄付制)だということが、「食事をありがたく頂いている」という意識を生んでいたことも、関係しているかもしれません。
食事の時間になると、参加者のみなさんは急いで食堂に向かい、夢中になって食べていました。
食事をとる機会は1日に2回しかなく、それ以外の時間は何も食べることができないので、この機会を逃すまいと、みなさん必死です。
人間の、食べものに対する執着は、根深いものがありますねw
とりわけ、朝食時に食べる、バター&ジャムをたっぷり塗った焼きたてのドイツパンは、本当に美味しく、大人気でした。
みなさんがこぞってオーブントースターを使うために、一度電気のブレーカーが落ちたくらいですw
食べすぎに注意
敷地内の様子
1日2回の食事で、全てベジタリアンメニューとなると、どうしてもカロリー不足を感じます。
ですから、あとでお腹が空かないよう、1回の食事でできるだけたくさん食べよう!と誰もが考えます。
でも、これが落とし穴。
私も、最初の1〜2日は、ご飯やパンをたくさんおかわりしていましたが、そのあとの瞑想中、決まって強い眠気がおそってきました。
満腹の状態だと、眠気との戦いになり、瞑想どころではなくなります。
これに懲りて、3日目くらいから食事の量を減らしたところ、瞑想の質も徐々に上がっていきました。
食事の量は、普段の半分くらいでちょうど良いです。
慣れてくると、少しの量でも、十分満足できるようになります。
なにせ、日中していることといえば、瞑想と散歩くらいのものです。
心身ともにどんどん静かで落ち着いた状態になりますから、余分なカロリー摂取は必要なくなります。
おわりに
センターの入り口にある看板
10日間こんなメニューを食べ続けたあと、体調はとても良くなったと感じました。
胃腸が元気になり、身体が軽くなったような感じです。
終了後、家で体重を測ってみたら、体重減は2kgでした。
食事の内容を考えると、もっと体重が減ってもおかしくないと思いましたが、これには個人差があると思います。
こんな禁欲生活のあとですから、コースが終わったら、ステーキやらお寿司やらが食べたくなるかと思いきや、不思議とそんな気持ちにはなりませんでした(これも個人差あると思います)。
結局帰ってから、肉や魚を取り入れつつも、野菜中心の食事を続けています。
参考になれば嬉しいです。
※写真の撮影・掲載については、事前に許可を得ています。
パオ