瞑想Hack

瞑想を始めたい・続けたい人のための瞑想ライフハック・ブログです。瞑想に取り組む上で知っておきたいことを、脳科学や仏教の視点も交え、わかりやすく解説しています。

ヴィパッサナー瞑想のやり方

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悩みやストレスを減らすのに有効といわれる「ヴィパッサナー瞑想」。スリランカのお坊さんであるスマナサーラ長老の本を参考にしながら、「ヴィパッサナー瞑想」のやり方について、ポイントをまとめてみました。

 

 

 

 

 

はじめに

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仕事、お金、健康、人間関係。。

 

 

私たちは毎日、さまざまな不安やストレスを抱えながら生きています。

 

 

ストレスや悩みを少しでも軽くするための方法として、「瞑想」が、近年注目を集めています。

 

 

グーグルやインテルといったアメリカの大企業が研修に取り入れたこともあり、世界的な流行にまでなっています。

 

 

最近は、メンタリストDaiGoさんの影響などもあり、若い層でも瞑想をやってみたいと思う人が増えている印象です。

 

 

瞑想には、大きく分けて2種類あります。

 

 

サマタ瞑想」と「ヴィパッサナー瞑想」です。

 

 

一般的に、「瞑想」と言うと、「サマタ瞑想」を指す場合が多いです。

 

 

「サマタ瞑想」は、心を静かに落ち着かせたり、集中力を養ったりするための瞑想です。

 

 

初心者の場合は、この「サマタ瞑想」から始めると良いですね。

 

 

当ブログでは、初心者が、1日5分からできる瞑想のやり方を紹介しています。

 

 

 

 

「サマタ瞑想」で心を落ち着かせたあと、「ヴィパッサナー瞑想」に入ります。

 

 

このエントリでは、「ヴィパッサナー瞑想」のやり方をご紹介します。

 

 

スリランカのお坊さん、スマナサーラ長老の『自分を変える気づきの瞑想法』という本を参考に、ポイントをまとめてみました。

 

 

ヴィパッサナー瞑想とは?

悟りを開く瞑想?

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ヴィパッサナー瞑想は、ブッダが悟りを開いた瞑想法と言われたりします。

 

 

「悟り」って聞くと、

 

 

怪しい。。

ちょっととっつきにくい。。

 

 

とかって思うかもしれませんね。

 

 

スマナサーラ長老は、こう説明します。

 

 

悟りとは神秘的な何かではなく、 完全な心の安定です

 

悟りを開くというのは、心にある悩み、 ストレス、苦しみ、不安がすべてなくなり、もう二度と、 怒り、欲、憎しみ、嫉妬などの感情に悩まされない心の状態を得る、ということなのです。

引用元:『自分を変える気づきの瞑想法【第3版】』アルボムッレ・スマナサーラ著、2015年、株式会社サンガ。以下同じ。

 

 

「悩みやストレスが完全になくなる」って、本当に可能なの?

 

 

人は死ぬまで、悩みやストレスを抱えながら生きていくものなんじゃないの?

 

 

私も、そんなふうに半信半疑な気持ちはありました。

 

 

でも、スマナサーラ長老の説明をよく読んでいくと、ヴィパッサナー瞑想のメカニズムを合理的に解き明かしているので、腑に落ちるところも多々あります。

 

 

「思考」は時間のムダ?

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人間の心を汚す唯一の原因は「思考」です。 このことはすぐには理解していただけないかもしれません。

 

多くの人は「考える」 ことこそ人間らしさだと思っているのですから。

 

しかし、私たちが考えていることのほとんどすべては、 生きるうえで必要な「思考」ではありません。

 

 

私たちはいつも先のことばかり考えて生きています。

 

朝ごはんを食べるときには「食べ終わったら、 出かけなくちゃ」と先の目的で頭がいっぱいです。

 

だから何を食べたか、どんなふうに食べたかわからず、 ただ、身体にものを詰め込むだけです。

 

 

「思考のほとんど全てがムダ」と言われると、なかなか同意できないかもしれません。

 

 

でも、ムダな思考や妄想がたくさんあるのは事実。

 

 

たしかに、目の前のことに夢中になっている時間って、案外少ないです。

 

 

外を歩いていても、ご飯を食べていても、あるいは、人と話している最中や仕事をしているときでえ、ぜんぜん関係のない思考や妄想にとらわれることってありますよね。

 

 

そんな思考や妄想って、多くの場合なんの成果も生み出さないですし、時間とエネルギーのムダづかいになっているわけです。

 

 

 

「思考」を止める練習

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スマナサーラ長老いわく、ヴィパッサナー瞑想とは、「思考」を止める練習だと言います。

 

 

ヴィパッサナー(Vipassana)とは、パーリ語で、「明確に見る」という意味です。

 

 

つまり、ちゃんと観察するということ。

 

 

何を観察するのかといえば、自分のカラダや心です。

 

 

やり方は簡単。

 

キーワード は「今の瞬間」。

 

「今の瞬間」に自分が何をやっているのかということを「実況中継」 するのです。

 

実況中継を始めると、 思考できなくなってしまうのです。 妄想したくてもできなくなる、そういう簡単な方法なのです。

 

 

皮膚のかゆみ、足のしびれなど、カラダの感覚。

 

 

心の中で生まれては消えていく、様々な思考、雑念、妄想。

 

 

こういうものに、ひとつひとつ気づき、実況中継していく。

 

 

慣れないうちは、けっこう大変な作業ではあるのですが、実況中継している間は、余計な思考はストップします。

 

 

ヴィパッサナー瞑想は、これを続けていく訓練だととらえれば良いです。

 

 

ヴィパッサナー瞑想のやり方

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スマナサーラ長老『自分を変える気づきの瞑想法』によると、ヴィパッサナー瞑想の基本的なやり方は、「立つ瞑想」「歩く瞑想」「座る瞑想」の3つあるそうです。

 

 

どれも、カラダの動きや心の動きを、頭の中で(声には出さずに)実況中継する感じで行なっていきます。

 

 

ここでは、「座る瞑想」について、同書を参考にしながら、

 


順を追って解説していきます。

 

 

1.お尻に力を入れる

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座布団の上に座ります。

 

 

瞑想用の座布団でも良いですし、普通の座布団であれば2つ折りにして使います。

 

 

私はこちらの座布団を使っています。

 

 

 

 

座り方は、結跏趺坐(けっかふざ:両足をヒザの上に乗せて結ぶ座り方)でも良いですし、普通のあぐらでも良いです。

 

 

お尻の骨と、両ひざの3点でカラダを支えます。

 

 

お尻をちょっと後ろに突き出す感じで、骨盤を固定します。

 

 

手はヒザの上でも良いですし、前で組んでも良いです。

 

 

2.姿勢を正す

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姿勢はとても重要です。

 

 

姿勢が崩れると、脳の働きに影響が出てくるので、瞑想会などでも姿勢については厳しく注意されます。

 

 

座布団の高さを利用して、しっかり腰を立てるイメージです。

 

 

骨盤から頭のてっぺんまで「伸ばす、伸ばす、伸ばす」と実況中継しながら背筋を伸ばします。 背骨を1個1個重ねていく意識です。

 

 

3.力を抜く

頭のてっぺんからゆっくりと意識を下げていきます。

 

力、 抜けます、抜けます、抜けます、抜けます……」と実況中継します。

 

力が勝手に抜けていきます。 腰、骨盤はしっかり支えています。

 

 

4.胴体を前に倒す

頭から背中に厚い板を接着剤で貼り付けたイメージで、胴体を固定します。

 

 

それからパタンと、前に30度くらい、倒します

 

 

5.目を閉じる

まぶたは瞬時に閉じますが、言葉のほうは「目を閉じます、閉じます、 閉じます、閉じます……」 と、 だいたい20回くらい繰り返してください。

 

 

6.上半身を上げる

骨盤で身体の重さを感じながら、背筋と頭をまっすぐにしたまま、胴体を超スローモーションで起こします。

 

実況中継は「上げる、上げる、上げる、上げる……」 です。

 

ちょうどいいところになったら止まります。

 

 

7.ストップモーション

上半身がまっすぐになったら「身体を固定します、 固定します、 固定します」と3回唱えて、 死体を演じます

 

 

「死体を演じる」というのは、一切カラダを動かさないという意味です。

 

 

まぶたを動かしたり、口の中で舌を動かしたり、カラダを揺らしたりするのも一切ダメ。

 

 

呼吸をしている以外は、カラダを1ミリも動かさないということです。

 

8.深呼吸

この深呼吸は、胸は動かないようにして、下腹部だけでする、無理やりな深呼吸です。

 

おなかを膨らませて、縮ませます。

 

吸います、吸います、吸います、吸います……」と実況中継して、下腹部いっぱい吸います。

 

次に、「吐きます、吐きます、吐きます、吐きます……」と実況中継して、ぜんぶ吐きだします。

 

下腹部以外の部分が動いたり、背骨が曲がらないように気をつけてください。

 

 

9.何もしないで待つ

だいたい20回くらい「待ちます、待ちます、待ちます、待ちます……」と実況中継してください。

 

身体がリラックス状態になって、自然に呼吸できるようになると思います。

 

 

10.下腹部の膨らみ、縮みを実況中継

下腹部に意識を集中して、下腹部の感覚を感じてみます。

 

おなかが膨らむ縮む、という感覚が、だんだん鮮明に感じられるようになってきます。そうしたら、実況中継を始めます。

 

膨らみ、 膨らみ。縮み、縮み(あるいは膨らんでいます、縮んでいます)」と実況中継 します。

 

 

11.雑念を退治する

途中で雑念が入ったら、「妄想、妄想、妄想」と実況して、たちまちつぶします。

 

真剣に実況すると、雑念はそれほど強く割り込まないものです。

 

 

12.身体の感覚を中継する

ここ、重要です。

 

 

どこかがしびれてくることもあります。どこかしびれてきたら、その部分に意識を集中させて、実況中継します。

 

 

そのうち、いろいろなことが出てきます。

 

たとえば音が、耳に聞こえます。そのときは「 音、 音、 音、 音……」と実況中継します。

 

「車の音」「鳥の声」 などと実況中継すると妄想になるので、単純に「音、音……」と実況中継してください。

 

 

どこかが痛くなってくることもあります。

 

どこか痛くなってきたら、その痛む部分、局部に意識を集中させて、実況中継します。

 

音、痛み、しびれなどは、敵でも邪魔でもありません。現実です。

 

ですから、嫌な気持ちにならないで、ただ淡々と実況中継するのです。

 

 

敵は、雑念、思考、妄想だけです。

 

このように実況中継をずっと続けます。

 

身体に起こることを、ずーっと絶え間なく実況中継します。

 

いつでも「膨らみ、縮み」がありますから、実況中継が止まることはないはずです。

 

 

13.終わり方

終わるときには、もう一度、深呼吸します。そして実況中継します。

 

 

これを3回繰り返してください。次のように実況中継します。

 

「吸います、吸います、吸います、吸います。吐きます、吐きます、吐きます、吐きます。終わります」

 

「吸います、吸います、吸います、 吸います。 吐きます、吐きます、吐きます、吐きます。終わります」

 

「吸います、吸います、吸います、吸います。吐きます、吐きます、吐きます、吐きます。終わります」

 

 

実際の呼吸に合わせたタイミングで実況中継していきます。3回、終わったら、次は目を開けます。

 

目を開けます、目を開けます、目を開けます」と3回実況中継して目を開けます。

 

ゆっくりと目を開けて終わります。

 

 

 

注意点

どれくらいの時間やればいいの?

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スマナサーラ長老は、

 

 

初心者であれば、30分程度にしてください。

 

 

それでも無理だと思うなら、20分くらいでも結構です。でも、これくらいの時間では足りません。

 

 

1回につき、45分〜1時間やれば、座る瞑想としては十分な時間です。

 

 

と言います。

 

 

瞑想をしたことがない人からすると、おそらく20分でもキツイと思います。

 

 

私は、瞑想を毎日の習慣にしてから、8か月くらいになります。

 

 

はじめのうちは、20分なんて無理。。せいぜい、5分、じっと座ってるのがやっとでした。

 

 

ようやく今になって、20分くらいなら苦もなく座れるようになったかなという感じです。

 

 

ですから、いきなりヴィパッサナー瞑想を30分〜1時間というのは、ハードル高いです。

 

 

まずは、ヴィパッサナー瞑想ではなくて、サマタ瞑想(呼吸に注意を集中する瞑想)を、1日5分から始め、慣れてきたらヴィパッサナー瞑想も始めるという流れがいいのではないかと思います。

 

 

瞑想は、とにかく毎日すること。そして継続することが大切です。

 

 

今日1時間がんばっても、明日できなかったら、あまり意味がありません。

 

 

1日5分でも、毎日続けることが大切。

 

 

慣れてきたら、少しずつ時間を伸ばしていくやり方が、私は良いと思います。

 

 

実況中継するときの言葉について

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心の中で実況中継するとき、「膨らみ」「縮み」「音」「妄想」などと、いろいろな言葉を使います。

 

 

このとき注意すべきは、「私はいない」という想定で、実況中継するという点です。

 

 

え?私はいない?私は現にここにいるじゃないか!と思うかもしれません。

 

 

ただ、ヴィパッサナー瞑想というのは、現象をありのままに観察していく瞑想で、

 

 

「お腹の膨らみ」とか、「皮膚のかゆみ」とか、「足の痛み」とか、「音」とか「妄想」とか、そういった感覚・経験を、ありのままに観察するものです。

 

 

「私はこう考えた」とか「私はこう感じた」というフィルターを外していきます。

 

 

「音を聞いた」とか「痛い」という表現は、主語である私を想定した言葉づかいになっているので、瞑想中には使うべきではありません

 

 

「音を聞いた」のではなくて、「ただの音」。

 

 

「痛い」のではなくて、「ただの痛み」です。

 

 

そのような視点が重要になってくるということです。

 

 

おわりに

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以上が、スマナサーラ長老の解説する、ヴィパッサナー瞑想のやり方のまとめです。

 

 

上記のように、13のステップがあり、始めはそれを覚えるだけでも大変です。

 

 

時間も30分くらいかけないといけないみたいですし、初心者にはちょっとハードル高いかもしれません。

 

 

でも、根底にある考え方はシンプル。

 

 

思考をしない」ということです。

 

 

心身に起こるさまざまな体験をひたすら観察・実況中継していくことで、思考・雑念・妄想が生まれてくる余地を無くしてしまおうということです。

 

 

私たちが抱えているさまざまな悩み、ストレス、不安は、思考が生み出しています。

 

 

思考をストップさせる訓練をしていけば、そこから生じる悩みやストレスも減ってくる。

 

 

結果、生きるのが楽になるという仕組みです。

 

 

ヴィパッサナー瞑想は、何か神秘的な体験を得るためのものではなく、わりと合理的なメソッドだということがわかると思います。

 

 

もちろん、ヴィパッサナー瞑想はそんなに簡単な実践ではないので、しっかりと取り組みたい場合は、専門家の指導を受けた方が良いです。

 

 

スマナサーラ長老の解説をまとめましたが、他にも指導者はたくさんいますし、それぞれでやり方は少しずつ異なります。

 

 

人によって、合う合わないもあるかもしれませんので、参考までとしていただければ幸いです。

 

 

なお、瞑想実践について、もっと詳しく知りたい場合は、こちらの本をおすすめします。

 

 

今回は、ヴィパッサナー瞑想のうち「座る瞑想」をご紹介しましたが、こちらの本では「立つ瞑想」「歩く瞑想」なども詳しく解説されています。

 

 

また、慈悲の瞑想の解説や、質疑応答のコーナーなどもあります。

 

 

文章もとても平易で読みやすいので、瞑想を始めてみたいという方には、ぜひおすすめしたい1冊です。

 

 

 

自分を変える気づきの瞑想法【第3版】: ブッダが教える実践ヴィパッサナー瞑想

自分を変える気づきの瞑想法【第3版】: ブッダが教える実践ヴィパッサナー瞑想

 

 

 

パオ