瞑想Hack

瞑想を始めたい・続けたい人のための瞑想ライフハック・ブログです。瞑想に取り組む上で知っておきたいことを、脳科学や仏教の視点も交え、わかりやすく解説しています。

瞑想・マインドフルネスによくある、3つの誤解

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最近流行りの瞑想・マインドフルネス。ただ、流行れば流行るほど、誤解が生まれやすくなるのもまた事実。文献を参照しながら、よくありがちな誤解を3つ取り上げ、まとめてみました。 

 

 

 

 

 

はじめに

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最近はやりの瞑想マインドフルネス

 

 

マインドフルネスとは、「今現在の自分の心身の状態に注意を向けること」。

 

 

瞑想などの実践を通じて、トレーニングしていきます。

 

 

マインドフルネス瞑想には、

 

 

☑️集中力アップ
☑️ストレス低減
☑️睡眠の質向上

 

 

などの効果があるとされ、最近では若い層でも取り組む人が増えてきました。

 

 

そんな瞑想やマインドフルネスですが、

 

 

ちょっと概念としてわかりにくい部分があるのも確か。

 

 

よくありがちな誤解を3つ取り上げ、文献を参照しながら、マインドフルネスというものを正しく理解していきたいと思います。

 

 

誤解①「瞑想は、リラックスすること」

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瞑想と聞くと、目を閉じて、心を落ち着かせる。

 

 

ストレス状態から、リラックス状態になることだとの誤解があります。

 

 

しかし、マインドフルネスは、リラックス状態のことではありません。

 

 

そもそもマインドフルネスとは、どんな状態でしょうか。ストレスがない状態や、不安や落ち込みから自由になった状態だと認識されている方が多いと思うのですが、これは本来関係ありません。

 

ストレスの逆は、リラクセーションといわれる状態ですよね。不安・緊張がない状態のことをリラクセーション状態といいますが、それとマインドフルネスとはもともと関係がありません

 

 

ただ、ジョン・カバット・ジン博士(マサチューセッツ大学名誉教授)がマインドフルネスストレス低減法という方法を開発して、それが世界中で使われるようになり、マインドフルネスがよく知れ渡るようになりました。

 

それでマインドフルネスというと、 ストレスを減らす方法ではないか、と思われる方がいらっしゃると思うのですが、基本的に関係はないのです。

 

なぜ、 これを最初にお話しするのかというと、 不安やうつ、緊張などをなくそうとしてマインドフルネスを始めると、 そこで最初の落とし穴に落ちてしまうからです。

 

なくそうとしないそのままにしておく、というのがマインドフルネスのポイントです。 だから本来、ストレスとリラクセーションという軸とは別の軸であることを理解してください。

引用元:「実践!マインドフルネス -今この瞬間に気づき青空を感じるレッスン」、熊野宏昭著、株式会社サンガ、2016年

 

 

早稲田大学の熊野宏昭博士は、わかりやすくこう解説されています。

 

 

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引用元:「実践!マインドフルネス -今この瞬間に気づき青空を感じるレッスン」、熊野宏昭著、株式会社サンガ、2016年

 

 

ストレス状態の反対は、リラクゼーション。

 

 

マインドフルネスは、この軸とは直接関係ないということです。

 

 

マインドフルネスは、自分の心身の状態に気づいていること。

 

 

熊野先生の表現でいえば、「目覚めている状態」。その逆は「心ここにあらずの状態」です。

 

 

ストレス状態であろうが、リラックス状態であろうが、それに気づいていれば、マインドフルであるということですね。

 

 

瞑想することがリラックスすることだと思って、瞑想を始めてしまうと、うまく続けられなくなる可能性があります。注意が必要ですね。

 

 

誤解②「瞑想は、非日常体験」

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瞑想やマインドフルネス。

 

 

もしかすると、人里離れた山の上、森の中、海辺などで、非日常体験として行うようなイメージを持つ方もいるかもしれません。

 

 

確かに、瞑想やヨガといったエクササイズを、グループになって、自然環境の良い場所などで行うイベントとというのは、国内外で多数開催されています。

 

 

リトリート」と呼ばれるものですね。

 

 

瞑想を、非日常空間で、一定期間集中して行うことには、確かに重要な意味があります。

 

 

しかし、そこにばかり注目してしまうと、思わぬ落とし穴があります。

 


リトリートに参加し、一生懸命、瞑想を実践する。

 

 

でも家に帰ると、もとの生活に戻る。瞑想やマインドフルネスのことは忘れて、今まで通り、仕事や子育てをする。

 

 

そして、またリフレッシュしたくなって、リトリートに参加する。

 

 

このように、日常と非日常を切り離してしまうのは、あまり望ましくはありません。

 

 

「マインドフルネス瞑想法」は、目覚めているすべての瞬間を意識的に過ごすためのものです。

 

ゴミを出しに行くときも、 食べるときも、運転するときも、常に注意を集中し、私たちの心や体の中で生じている様々な動きをコントロールし、自分の内部の世界と外の世界とのズレを上手くあやつれるようにするのです。

 

 

瞑想というのは、”意識的に現在を生きる”ためのものです。瞑想とは、どこか別の世界に行くのではなく、自分が既にいるこの場所で、この瞬間を精一杯生きることなのです。

引用元:「マインドフルネスストレス低減法」ジョン・カバットジン著、北大路書房、2007年

 

 

リトリートに参加したあと、それを日常生活に生かし、しっかり習慣化していく。

 

 

それでこそ、リトリートに参加する意味が生きてきます。

 

 

瞑想している時間だけでなく、普段の生活、目覚めているあらゆる瞬間瞬間に、注意を向け、気づいていくことが重要です。

 

 

ですから、瞑想やマインドフルネスは、非日常というよりはむしろ、日常生活の中にこそ、あるべきものといえます。

 

 

 

誤解③「瞑想は、神秘体験や超常体験を目指すもの」

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何か普通ではない神秘的な体験超常体験をするための手段として、瞑想を行うという考えもあるようです。

 

 

宗教的な実践として、そのような瞑想を行うことについて、私は否定するつもりは全くありません。

 

 

しかし、少なくともマインドフルネス瞑想は、神秘体験や超常体験を目指すものではありません

 

 

1995年の、オウム真理教による地下鉄サリン事件。

 

 

30代以上の方はご記憶かと思います。

 

 

カルト宗教が先鋭化し、一般人を殺害するという悲劇。

 

 

教団内では、信者たちが瞑想やヨガを宗教的実践として行っていました。

 

 

タイで出家された日本人僧侶として著名な、プラユキ・ナラテボー先生は、当時オウム真理教教団内で行われていた瞑想について触れ、次のように語っています。

 

 

集中するタイプの瞑想で、いわゆる宇宙的な意識や恍惚感を感じたという人は少なくないですね。また、 特定の美しいイメージに意識を集中しているうちに、天国のようなヴィジョンを見て愉悦に浸るなんてのもよく聞きます。

 

(中略)

 

瞑想所初心者にはとても魅力的な体験ですから、「ハマってはだめだよ」と指導されてはいても、ついついはまり込んでしまうことはありますね。

 

 

オウムの元出家者に会って話を聞くと、当時の修行を振り返って、オウム真理教の瞑想には「観察」が全くなかったと、口をそろえて言います。

 

(中略)

 

オウム真理教に限らず、瞑想中にいわゆる神秘体験のようなものをすることが、悟りを得たり、 精神の高みに昇ることだと勘違いしている人はまだまだ多いようです。

 

(中略)

 

たとえ神秘的な体験をしたとしても、それも、怒りや悲しみなどと同じ心の現象。どんな現象が生じてこようとも、とらわれてしまうことなく、ただただその生まれては消えてゆくさまを、あるがままに見つめていることが大事です。

引用元:「脳と瞑想」プラユキ・ナラテボー、篠浦伸禎著、サンガ新書、2016年

 

 

瞑想は、心を観察する訓練。

 

 

たとえ神秘体験や超常体験などがあったとしても、それをありのままに観察する。

 

 

これがマインドフルな態度ということですね。

 

 

私自身は特に神秘体験などをしたことはありませんが、このような体験をする人は、実際にいるらしいですね。

 

 

神秘体験自体が悪いということではありませんが、それにとらわれてはいけないということです。

 

 

 

おわりに

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以上、まとめると、

 

 

☑️瞑想は、リラックスすることではない
☑️瞑想は、非日常体験ではない
☑️瞑想は、神秘体験や超常体験を目指すための手段ではない

 

 

です。

 

 

瞑想やマインドフルネスは、最近では若い層にも少しずつ普及しています。

 

 

より多くの人が興味を持ち、商業ベースに乗ってくると、誤解が生じやすくなるのも事実。

 

 

誤解が広がってしまうと、実践する個人にとっても、あるいは社会的にも、リスクになる可能性があります。

 

 

私自身も、十分に注意したいと思っています。

 

 

パオ