マインドフルネスと、こころの病気
近年、うつ病などの精神疾患の治療に、マインドフルネスを応用する動きがあるそうです。
マインドフルネスと、こころの病気
マインドフルネスと、こころの病気について、考えてみたいと思います。
近年、脳科学の立場から研究が進み、マインドフルネスが、うつ病などの精神疾患にも効果があることが、わかってきているそうです。
「世界のエリートがやっている最高の休息法」(久賀谷亮著、ダイヤモンド社、2016年)という本の中に、面白い話があったので、紹介します。
マインドフルネス認知療法
この本によると、近年、新たな心理療法として、マインドフルネス認知療法というものが、注目を集めているそうです。
認知療法とは、知らず知らずのうちに形成される「認知のゆがみ」に着目し、そのゆがみを直すことによって、うつ病などの精神疾患の症状を改善しようとするものですね。
今、心理療法のなかでは、「認知行動療法」というものが主流です。
うつ病、不眠、パニック障害、薬物依存など、さまざまな領域に応用されています。
そして、ここにきて、マインドフルネスを取り入れたマインドフルネス認知療法が、新たに広がりつつあるというのです。
オックスフォード大学チームの研究結果
この本では、興味深い研究が紹介されています。
オックスフォード大学のチームの研究です。
まず、
長年にわたって薬物治療を受けている重度のうつ病患者を、
無作為に2つのグループに分ける。
一方にはこれまで通り薬物を投与するが、
もう一方は薬の処方をやめて
週2時間のマインドフルネス認知療法に切り替える。
8週間に及ぶ治療のあと、
2年間にわたって追跡調査を行い、
どちらのグループがうつ病の再発率が高いかを調べる。
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結果:2つのグループの間で、うつ病の再発率に、差はなかった。
これは、驚くべきことです。
精神科医からすると、重度のうつ病患者に対して、薬物投与をやめるというのは、かなりリスキーなことだそうです。
この研究は、マインドフルネスが、うつ病の治療にある程度有効であることを示しています。
これからの精神医療は?
著者によると、まだ薬物治療が一般的な日本とは異なり、アメリカの精神医療の世界では、薬物治療は避けられる傾向にあるといいます。
この著者の考えや、マインドフルネス認知療法というものが、日本の精神医療の世界でどう受け止められているのか、私は寡聞にして知りません。
薬物療法を、副作用があるから良くないとか、マインドフルネスなら大丈夫だとか決めつけてしまうのは、あまりにナイーブだと思います。
日本では、まだまだ難しいのかもしれません。
ただ、マインドフルネスが精神医療のさまざまな分野で応用され、患者さんに多様な治療の選択肢が用意されるのであれば、ひそかに期待したいところではあります。
本の紹介
今回紹介した本は、マインドフルネス瞑想を脳科学の視点から検証し、その驚くべき効果を明らかにしたものとなっています。
内容的には、脳科学の専門用語などが出てきて高度なのですが、構成が小説仕立てになっています。
小説なので、内容のわりに、非常に読みやすいです。興味のある方は、ぜひ手にとってみてください。
世界のエリートがやっている 最高の休息法――「脳科学×瞑想」で集中力が高まる
- 作者: 久賀谷亮
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2016/07/29
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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PAO