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瞑想を始めたい・続けたい人のための瞑想ライフハック・ブログです。瞑想に取り組む上で知っておきたいことを、脳科学や仏教の視点も交え、わかりやすく解説しています。

誰でも3分でできる!「脱フュージョン」のテクニックを3つご紹介

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自分はどうせダメ人間。。そんな不安や思い込みなど、ネガティブ感情にとらわれたときは、「脱フュージョン」のテクニックがおすすめです。誰でも3分あれば実践できる、簡単な方法を3つご紹介します。

 

 

 

 

はじめに

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私たちは、ネガティブな思考や感情を抱えながら、日常生活をおくっています。

 

 

仕事がなかなかうまくいかないときは、

 

 

 「自分は仕事ができない」

 「ぼくはダメ人間だ」

 

 

人間関係につまずいたときには、

 

 

 「私には魅力がない」

 「おれはみんなに嫌われている」

 

 

さらに不運が続くと、

 

 

 「人生なんてろくなもんじゃない」

 

 

極端になると、

 

 

 「死んだほうがマシだ」

 

 

とさえ、思ってしまうことだってあります。

 

 

ネガティブな思考や感情に一度のみこまれてしまうと、なかなか抜け出すことができず、本当につらいですよね。

 

 

そんなときに有効なのが、心理療法でよく使われる「脱フュージョン」というテクニックです。

 

 

このエントリでは、脱フュージョンの概要と、代表的な3つの実践テクニックをわかりやすく解説していきます。

 

 

 

脱フュージョンとは?

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「脱フュージョン(Defusion)」をひとことで説明すると、ネガティブな思考と自分自身を切り離すことで、否定的な感情に巻き込まれないようにするテクニックです。

 

 

例えばAさんが

 

 

「おれはみんなから嫌われている」

 

 

と思ったとします。

 

 

そしてその思いがだんだん強くなり、

 

 

「もう誰とも会わないようにしよう」

「仕事もやめて、家に引きこもろう」

 

 

となったとします。

 

 

「おれはみんなから嫌われている」というのは、あくまでAさんの "思考" にすぎません。

 

 

でもAさんは、その "思考" を現実だと思い込み、自分自身の行動にまで影響してしまっています。

 

 

この状態を「フュージョン」といいます。

 

 

脱フュージョンとは、自分自身を客観的に見つめ直し、自分の「思考」と現実を切り離すことを意味します。

 

 

脱フュージョンをうまく活用することで、ネガティブな思考・感情の連鎖をストップさせ、メンタル状態を大きく改善させることができるのです。

 

 

脱フュージョンは、2010年代から注目を集めている心理療法「アクセプタンス&コミントメント・セラピー(ACT)」のなかでも重視されているメソッドです。

 

 

以下、誰でも簡単にできる脱フュージョンのテクニックを3つご紹介していきます。

 

 

テクニック①:「と思った」法

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エクササイズを始めるにあたり、あなたを動揺させる思考を「私は...だ」 という形で思い出してほしい。

 

「私は大したことのない人間だ」「私は無能だ」など、いつも浮かんでくる、自分を悩ませ混乱させる思考が望ましい。

 

それに10秒間集中し、極力真実であると信じ込んでほしい。

 

 

 

次に、その思考を取り出して次の文章の中に入れてみよう。

 

「私は...だという考えを持っている」。

 

さて、再び思考に集中しよう。

 

ただし今度は新しい文章に入れて行う。

 

「私は『自分が...だ』という考えを持っている

 

どんな変化が起こるか注意してみよう。

引用元:p.53『幸福になりたいなら幸福になろうとしてはいけないーマインドフルネスから生まれた心理療法ACT入門』ラス・ハリス著、筑摩書房、2015年

 

 


これは、どんなネガティブ思考にも使えます。

 

 

「ぼくはみんなから嫌われている」→「ぼくはみんなから嫌われている」と思った

 


「私は母親失格だ」→「私は母親失格だ」と思った

 


「おれの人生ろくなことない」→「おれの人生ろくなことない」と思った

 

 

語尾に「と思った」とつけるだけでもかまいません。

 

 

これを何度もくりかえし、自分のメンタルにどのような変化が起こるか観察します。

 

 

自分のネガティブな思考から、少し距離を取れるようなったと感じることがあります。

 

 

以前ほど、深刻な問題ととらえなくなるのです。

 

 

ネガティブ思考を無理に追い出そうとか、ポジティブ思考と入れ替えようとしているわけでもありません。

 

 

ただ思考と現実を分離しただけなのです。

 

 

テクニック②:音楽の思考

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あなたをいつも悩ませるネガティブな自己判断を思い浮かべてほしい。

 

たとえば「俺はなんて間抜けなんだ」。

 

次に、その考えを心に浮かべ、10秒間信じられるだけ信じてみよう。

 

それがあなたにどんな影響を与えるか観察してみよう。

 

 

次に、 再びその思考を思い浮かべ、「ハッピーバースデイ」の節回しで歌ってみよう。

 

頭の中で静かに歌う。

 

そして起こった変化に注意する。

 

 

さて、再びもとの思考に戻ろう。

 

もう一度、10秒間これ以上できないほど強く信じ込んでみよう。

 

そしてそれがあなたに及ぼす影響を観察する。

 

 

その思考を、ジングルベルのメロディーで歌ってみる。

 

頭の中で口ずさんでみよう。

 

起こる変化に注目する。

引用元:pp.55-56『幸福になりたいなら幸福になろうとしてはいけないーマインドフルネスから生まれた心理療法ACT入門』ラス・ハリス著、筑摩書房、2015年

 

 

 

おれはなんて〜ダメ人間〜♪♪

 

 

ちょっと子供だましに思えるかもしれません。

 

 

しかし、自分のメンタルをていねいに観察してみると、その思考について以前ほどシリアスに考えていないことに気づくことがあります。

 

 

このとき、思考と現実が分離され、「脱フュージョン」が成功していることになります。

 

 

「脱フュージョン」が成功しているとき、あなたは「おれはなんてダメ人間」という思考を、どうにかして消したいとか、思わなくなっているはずです。

 

 

思考と対決することなく、ただ距離をとって見つめているだけです。

 

 

テクニック③:アニメ声の思考

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まず、あなたを動揺させたり悩ませたりする思考を見つける。

 

その思考に10秒間集中する。

 

可能な限りその思考を信じてみる。

 

それが自分にどんな影響を与えているか観察する。

 

 

次に、声がユーモラスなアニメのキャラクターを選ぶ。ミッキーマウス、バックスバニー、シュレック、ホーマー・シンプソンなど。

 

そして、先ほどのネガティブ思考を思い浮かべる。

 

その時、選んだアニメのキャラクターの声で、その思考を「聞いて」みよう。

 

あたかもそのキャラがあなたの思考を声に出してしゃべっているように。

 

そして結果を観察してみよう。

 

 

今度はネガティブな思考を元の形に戻して、可能な限り強く信じ込み、それがあなたに及ぼす影響を観察する。

 

 

再び、映画やテレビ番組から別のアニメキャラを選ぶ。

 

ダースベイダー、ヨーダ、指輪物語のゴクリのような空想上のキャラか、 お気に入りのコメディドラマの登場人物、アーノルド・シュワルツネッガーやエディ・マーフィーのような特徴のある声の俳優でもよい。

 

そして、 苦痛に感じる思考を思い浮かべ、それを彼らの声で聞いてみよう。

 

何が起こるだろうか?

引用元:p.67『幸福になりたいなら幸福になろうとしてはいけないーマインドフルネスから生まれた心理療法ACT入門』ラス・ハリス著、筑摩書房、2015年

 

 

これも子どもだましのようですが、だまされたと思ってやってみましょう。

 

 

日本人であれば、もっと親しみのあるアニメキャラ、例えばドラえもんクレヨンしんちゃんの方がやりやすいかもしれません。

 

 

これを何回か行った後、心が軽くなっていたとしたら、「脱フュージョン」の成功です。

 

 

このとき、自分は決してネガティブ思考を変えようとしたり、消し去ろうとしなかったことを自覚しましょう。

 

 

また、人生の重要な問題を「アニメ声」のようなふざけた方法で取り扱うことに抵抗を感じる場合もあります。

 

 

その場合は、無理して行う必要はありません。

 

 

ただ、脱フュージョンは、重大な問題を軽く扱ったり、笑い飛ばすことではありません。

 

 

脱フュージョンの目的は、私たちを思考の抑圧から解放し、時間やエネルギーをもっと有益なことに使うよう仕向けることです。

 

 

おわりに

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いかがでしたでしょうか?

 

 

ご紹介した3つのテクニックのうち、いちばん自分がやりやすいと思うものを、取り入れていけば良いです。

 

 

一点、脱フュージョンを行う際の注意点を最後に付け加えておきます。

 

 

厄介な思考を脱フュージョンすると、多くの場合気分は良くなる。

 

しかしそれはあくまで副産物であって目的ではない。

 

脱フュージョンの真の目的は、役に立たない思考プロセスからあなたを解き放つことだ。

 

そうすればあなたは意識をもっと重要なものに向けることができる。

 

脱フュージョンによって気分が良くなったら、それを徹底的に楽しめばよい。

 

だが、そうなることを期待してはいけない

 

また、 このテクニックを気分のコントロールに使ってはいけない。

引用元:p.70『幸福になりたいなら幸福になろうとしてはいけないーマインドフルネスから生まれた心理療法ACT入門』ラス・ハリス著、筑摩書房、2015年

 

 

脱フュージョンは、うまくいくときと、うまくいかないときがあります。

 

 

気分がよくなることを期待しすぎず、淡々と繰り返していくのがおすすめです。

 

 

もし脱フュージョンが成功し、ネガティブな思考や感情から解放されたら、そこで得た時間やエネルギーを、何か有益なものごとに投下しましょう。

 

 

脱フュージョンは、アクセプタンス&コミットメントセラピー(ACT)のなかでも重視されているメソッドです。

 

 

ACTと合わせて実践することで、より理解を深めることができます。

 

 

 

 

参考になれば嬉しいです。

 

 

 

 

パオ