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瞑想を始めたい・続けたい人のための瞑想ライフハック・ブログです。瞑想に取り組む上で知っておきたいことを、脳科学や仏教の視点も交え、わかりやすく解説しています。

マインドフルネス度を測定する方法、MAASとFFMQをご紹介!

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自分が日頃どれくらいマインドフルに生活しているか(マインドフルネス度)は、誰でも簡単に測ることができます。臨床心理の分野で用いられる代表的な2つの尺度、MAASFFMQの使い方について解説します。

 

 

 

 

 

 

はじめに

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あなたのマインドフルネス度は、どれくらいですか?

 

 

マインドフルネスとは、「今この瞬間の経験に、注意を向けている」状態のことです。

 

 

どれくらいマインドフルな状態でいられるかということが、健全なメンタルを保つ上でも重要になります。

 

 

マインドフルネスに関する研究には、大きく分けて以下の2種類があります*1

 

 

 

 ①マインドフルネスとは何か、それをどのように測定するのかについての研究

 

 

 ②マインドフルネスの実践によってどのような効果が得られるのかについての研究

 

 

 

「マインドフルネスを科学する」と言うとき、多くの場合、私たちは②に目が行きがちです。

 

 

私たちが瞑想やヨガを実践することで、メンタルにどのような恩恵がもたらされるのかということにばかり注目しています。

 

 

しかしながら、②と同じくらい、①も重要です。

 

 

つまり、そもそもマインドフルネスとはどのような状態を指すのか。

 

 

自分はどのくらいマインドフルな人間なのか。そして、それをどのような方法で測定するのか。

 

 

これは、私たちが瞑想やヨガを実践する上での、いわばスタート地点になります。

 


このエントリでは、数あるマインドフルネスの測定方法のうち、代表的なものを2つご紹介します。

 

 

誰でも簡単にできる方法なので、ぜひ試してみてください。

 

 

 

MAAS(Mindful Attention Awareness Scale)

 

MAASとは?

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数多くの測定尺度があるなか、現在最も多くの研究で用いられているのが、MAAS(Mindful Attention Awareness Scale)と呼ばれる尺度です。

 

 

これは、2003年にバージニア・コモンウェルス大学で開発されたもので、15の質問から構成される、比較的シンプルなものです。

 


以下の質問に6点満点で回答します。

 


 1=ほとんどいつも
 2=とても頻繁に
 3=やや頻繁に
 4=ややまれに
 5=とてもまれに
 6=ほとんどない



その時の感情を後になって気づくことがある

不注意や考え事が原因で物を壊したりこぼしたりすることがある

今の状況に集中できないと思うことがある

過程を重視せず、目標にたどり着くために急ぎがちである

本当に気になるまで、身体的な緊張や身体の違和感に気づかないことがある

初めて聞く人の名前をすぐに忘れがちである

自分のしていることをそれほど意識せずに自動的に動いているように感じることがある

きちんと注意を払わずに急いで活動しがちである

到達したい目標に目が向いているので、まさに今そのためにしていることは自分にとって重要でない

10

自分のしていることを意識せずに機械的に仕事や作業をしている

11

気がつくと何かをしながら同時に、他人の会話に聞き耳を立てている

12

何も考えずにどこかに向かっていて後からなぜそこに向かったのか不思議に思うことがある

13

気がつくと未来や過去のことで頭がいっぱいになっている

14

気がつくと注意を払わずに物事に取り組んでいる

15

気づいたら無意識におやつを食べていることがある

引用元:井上裕美「マインドフルネスの測定―気分障害に対する第三世代の認知行動療法―」(https://doors.doshisha.ac.jp/duar/repository/ir/16258/019015020009.pdf

 

 

 

MAASの考え方

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回答を終えたら、平均点を出してみましょう。

 

 

平均的なマインドフルネス度のポイントは、3.84程度。

 

 

瞑想の上級者になると、4.38程度になるそうです*2

 

 

MAAS におけるマインドフルネスの定義は、「今この経験に注意を向けていること」です。

 

 

要するに、今、自分が体験していることに、どれぐらい自覚的であるかが、数値でわかるようになっています。

 

 

一因子構造といいますが、15の質問全てがこの注意力の有無を問うものとなっているので、シンプルな尺度といえます。

 

 

 

FFMQ (Five Facet Mindfulness Questionnaire)

 

 

FFMQとは?

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もう一つ、有名はマインドフルネス測定尺度として挙げられるのが、FFMQ (Five Facet Mindfulness Questionnaire)です。

 

 

FFMQ は2006年に開発され、マインドフルネスを複数の角度から総合的に測定できるため、高い評価を得ています。

 

 

以下の質問は普段のあなたにどの程度あてはまるか、5点満点で回答します。

 

 

 1=まったくあてはまらない(あるいは非常にまれにしかあてはまらない)
 2=めったにあてはまらない
 3=たまにあてはまる
 4=しばしばあてはまる
 5=いつもあてはまる(非常にしばしばあてはまる)

 

 

 

歩いているときに、自分の身体が動いている感覚に意識的に注意を向けるように

する。 

自分の感情を表現する言葉を見つけるのが得意である

不合理または不適切な感情をいだいたことで自分を責める

自分の気分や感情に気づきつつ、それにどうしても反応してしまうということは

ない

何かをする時、意識がどこかにそれて簡単に気が散る

シャワーを浴びたり、入浴している時、お湯が自分の身体に当たる感覚に敏感で

ある

私は、簡単に自分の信念、意見、期待を言葉にできる

空想にふけったり、心配したり、さもなければ、気が散って、自分がやっている

ことに注意を向けていない

感情を見守っていても、その中に迷い込むことはない

10

自分の感じ方に対して、そんなふうに感じるべきではないと自分に言い聞かせ

11

食べ物や飲み物がどのように自分の考え、身体の感覚、感情に影響を及ぼすかに

気づく

12

私にとって、自分が考えていることを表現する言葉を見つけるのは難しい

13

簡単に気が散る

14

自分の考えの一部は異常か、悪いものだと思うし、そう考えるべきではないと思

15

髪に吹く風や、顔に当たる日光などの感覚に注意を向ける

16

自分が物事についてどう感じているかを表現するぴったりとした言葉を思いつく

のに苦労する

17

自分の考えが良いか悪いか判断する

18

目の前で起きていることに集中し続けるのが難しいと感じる

19

つらい考えやイメージが浮かんだとき、大抵それに心を占領されることなく、一

歩下がってそれらを意識しておく

20

時計が時を刻む音、鳥がさえずる声、車が通る音などの音に注意を向ける

21

難しい状況で、慌てて反応することなく、一呼吸おくことができる

22

自分の身体に何かを感じた時、ぴったりとした言葉を見つけることができないために、それを表現するのが難しい

23

自分がしていることをあまり意識せずに「自動操縦」で動いているみたいであ

24

つらい考えやイメージが浮かんだとき、大抵じきに気持ちが落ち着く

25

自分の考え方に対して、そんなふうに考えるべきではないと自分に言い聞かせ

26

物事の匂いや香りに気づく

27

ひどく混乱した時でさえ、何とかそれを言葉で表現できる

28

十分に注意を払わずに、性急に物事をすすめる

29

つらい考えやイメージが浮かんだとき、大抵何とかしようとせずただそれらを見

つめることができる

30

自分の感情のいくつかは不適当または不適切であり、それらを感じるべきではな

いと思う

31

芸術や自然をみるとき、色、形、質感、光と影のパターンなどの視覚要素に注意

を向ける

32

自分の体験を言葉で表現する傾向をうまれもっている

33

つらい考えやイメージが浮かんだとき、大抵それらに気づくだけで放っておく

34

自分がしていることに注意を払わずに自動的に仕事をしている

35

辛い考えやイメージが浮かんだとき、大抵その内容によって自分が良かったのか

悪かったのかを評価する

36

自分の感情がどのように自分の考えや行動に影響するかに注意を向ける

37

たいてい現在自分がどのように感じているかをかなり詳細に表現することができ

38

気がつくと、注意を払わずに何かをしている

39

不合理な考えをいだいた時、自分に不満をいだく

引用元:「日本語版Five Facet Mindfulness Questionnaire」(https://www.act-japan-acbs.jp/pdf/ffmq.pdf

 

 

FFMQの考え方

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FFMQ に回答すると、マインドフルネスに関する自分の傾向を詳しく把握することができます。

 

 

MAAS がマインドフルネスの定義を「注意力」の一点に絞っていたのに対し、FFMQ は、マインドフルネスに5つの異なる要素を見出しています。

 

 

その5つの要素とは、以下の通り。

 

 

①体験の観察(自分の体験に注意を向けること)
②意識した行動(現在の行動に注意を向けていること)
③判断しない態度(自分の体験に批判的、評価的に接しないこと)
④描写(自分の体験を適切な言葉で表現すること)
⑤反応しない態度(自分の感情に過剰に反応しないでそのまま受け止めること)

 

 

FFMQには、39の質問がありますが、いずれの質問も、この①〜⑤のどれかに当てはなるようになっています。

 

 

①〜⑤を束ねてまとめ直したのが、以下の表です。

 

 

 

1

歩いているときに、自分の身体が動いている感覚に意識的に注意を向けるようにする

 

6

シャワーを浴びたり、入浴している時、お湯が自分の身体に当たる感覚に敏感である

 

11

食べ物や飲み物がどのように自分の考え、身体の感覚、感情に影響を及ぼすかに気づく

 

15

髪に吹く風や、顔に当たる日光などの感覚に注意を向ける

 

20

時計が時を刻む音、鳥がさえずる声、車が通る音などの音に注意を向ける

 

26

物事の匂いや香りに気づく

 

31

芸術や自然をみるとき、色、形、質感、光と影のパターンなどの視覚要素に注意を向ける

 

36

自分の感情がどのように自分の考えや行動に影響するかに注意を向ける

 

4

それにどうしても反応してしまうということなく、自分の気分や感情に気づく

 

9

その中に迷い込むことなく感情を見守る

 

19

つらい考えやイメージが浮かんだとき、大抵それに心を占領されることなく、一歩下がってそれらを意識しておく

 

21

難しい状況で、慌てて反応することなく、一呼吸おくことができる

 

24

つらい考えやイメージが浮かんだとき、大抵じきに気持ちが落ち着く

 

29

つらい考えやイメージが浮かんだとき、大抵何とかしようとせずただそれらを見つめることができる

 

33

つらい考えやイメージが浮かんだとき、大抵それらに気づくだけで放っておく

3

不合理または不適切な感情をいだいたことで自分を責める

10

そんなふうに感じるべきではないと自分に言い聞かせる

14

自分の考えの一部は異常か、悪いものだと思うし、そう考えるべきではないと思う

17

自分の考えが良いか悪いか判断する

25

そんなふうに考えるべきではないと自分に言い聞かせる

30

自分の感情のいくつかは不適当または不適切であり、それらを感じるべきではないと思う

35

辛い考えやイメージが浮かんだとき,大抵その内容によって自分が良かったのか悪かっ

たのかを評価する

39

不合理な考えをいだいた時、自分に不満をいだく

 

2

自分の感情を表現する言葉を見つけるのが得意である

 

7

私は、簡単に自分の信念、意見、期待を言葉にできる

12

私にとって、自分が考えていることを表現する言葉を見つけるのは難しい

16

自分が物事についてどう感じているかを表現するぴったりとした言葉を思いつくのに苦労する

22

自分の身体に何かを感じた時、ぴったりとした言葉を見つけることができないために、それを表現するのが難しい

 

27

ひどく混乱した時でさえ、何とかそれを言葉で表現できる

 

32

自分の体験を言葉で表現する傾向をうまれもっている

 

37

たいてい現在自分がどのように感じているかをかなり詳細に表現することができる

5

何かをする時、意識がどこかにそれて簡単に気が散る

8

空想にふけったり、心配したり、さもなければ、気が散って、自分がやっていることに注意を向けていない

13

簡単に気が散る

18

目の前で起きていることに集中し続けるのが難しいと感じる

23

自分がしていることをあまり意識せずに「自動操縦」で動いているみたいである

28

十分に注意を払わずに、性急に物事をすすめる

34

自分がしていることに注意を払わずに自動的に仕事をしている

38

気がつくと、注意を払わずに何かをしている

引用元:「日本語版Five Facet Mindfulness Questionnaire」(https://www.act-japan-acbs.jp/pdf/ffmq.pdf

 

 

ちなみに、アスタリスク(*)がつく項目は、逆転項目です。通常の項目では、点数が高いほどマインドフルネス度は高くなりますが、逆転項目では、点数が高いほどマインドフルネス度は低くなります。

 

 

自分のつけたポイントの分布を見ることで、自分は、①〜⑤のうち、どこが強くてどこが弱いのかがわかります。

 

 

例えば、自分は①自分の体験にはすぐ気がつく(注意力は高い)けれど、④それを言葉にするのは苦手(描写力は低い)などという具合に、傾向をつかむことができます。

 

  

FFMQは、質問数も多く複雑ですが、自分のマインドフルネス度をより詳細に知りたい方にはおすすめです。

 

 

 

おわりに

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マインドフルネス度の測定は、脳波から測定するとか、遺伝子の発現パターンから読み取るとか、もっと先進的な手法があってもよさそうに思えます。

 

 

残念ながら、そのような生理学的指標から直接測る方法は、確立されていないそうです。

 

 

現在のところ、このようなアンケート形式がまだまだ主流だそうです。

 

 

しかし、このエントリでご紹介した MAAS と FFMQ に関しては、世界中の研究者がひろく使用しており、高い信頼性を有しているといわれています。

 

 

瞑想やヨガなど、日々マインドフルネスを実践される方にとって、MAAS や FFMQ は、一つの目安になります。

 

 

ある程度期間をあけておいて、再度質問に回答することで、自分の変化をたどることもできるかもしれません。

 

 

参考になれば嬉しいです。

 

 

パオ

 

 

*1:p.3『マインドフルネスのすべて−「今この瞬間」への気づき』Susan L.Smalley、Diana Winston著、丸善出版、2016年

*2:p.232『最高の体調』鈴木祐著、クロスメディア・パブリッシング、2018年